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農地の税制

 <豊洲住宅公園>

 今月は豊洲住宅公園で住まい・法律・相続の無料相談会を行いました。市場問題で渦中の豊洲ですが、晴天に恵まれた3連休最終日という事もあり、ららぽーとをはじめ、住宅公園も家族連れの方々で賑わっておりました。今回のご相談は、地方都市にある両親の旧自宅と農地を維持すべきか売却等した方が良いかというご相談でした。その方は現在、江東区の自宅に介護等の面からご両親と同居されているそうで、地方都市の旧自宅と農地は空き家、休耕地となっている状況でした。こうした空き家・休耕地については、固定資産税の優遇措置が将来取消されてしまう恐れもあるので、有効利用してくれる第三者に貸し出すか、売却を検討されているご様子でした。

 農地は一般的な宅地と違い、貸付や売却をする際に農地法・生産緑地法等の制約を受けることになりますが、一方税務面での優遇措置がいくつか設けられておりますので、取り上げてみたいと思います。

 <農地の区分>

 農地は税制上、次のように区分されています。

    《 区分 》                                       《 行政方針 》

 ①市街化区域                                   保全すべき農地

 ②市街化区域 生産緑地地区                         保全すべき農地

 ③  〃       一般市街化区域農地                   市街化開発すべき農地

 ④  〃       特定市街化区域農地(3大都市圏の特定市)   最も市街化開発すべき農地

<優遇税制>

 農地の区分に応じて、固定資産税の調整と相続税・贈与税の納税猶予の適用関係は以下のとおりです。

  《 区分 》  《 課税方針 》     《 固定資産税年額のイメージ 》 《 納税猶予の適用 》

    ①     農地課税             千円/1000㎡         ○

    ②     農地課税            数千円/1000㎡         ○

    ③     農地に準じた課税     数10千円/1000㎡         ○

    ④     宅地並課税        数100千円/1000㎡       ×

                                    ※出典:農林水産省http://www.maff.go.jp/

 相続税・贈与税の納税猶予とは、農地を「農業投資価格」という極めて低額な価格(例:東京都内でも一律900千円/1000㎡)で評価し、通常の評価額との差額に対応する相続税・贈与税を、農業を廃業等一定の条件に該当する時まで課税を猶予する制度です。猶予は、免除と違い、課税を先送りする制度ではありますが、代々農業を継続する限りは課税を受けないことになります。

<改正>

 以上のとおり、農地には主に固定資産税と相続税の優遇制度が設けられておりますが、休耕地の状態が長期化したり、農業を廃業した場合に、優遇制度が取消されてしまう恐れがありますので注意が必要です。

 また、先般平成29年度税制改正大綱が公表されましたが、農地に関する改正も盛り込まれております。②生産緑地地区の指定要件が、地積500㎡以上から300㎡以上に緩和される、農産物を利用したレストラン等の併設が認められる等の方向で、都市部での農業経営環境にとって追い風となる制度が盛り込まれております。ただし、賃貸農地への納税猶予の適用は、現在①市街化区域の農地にのみ適用が認められておりますが、②③④市街化区域農地への拡充は今回見送られてしまった点は大変残念に思います。


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