養子のメリット・デメリット
- みきひろ 朝倉
- 2017年10月25日
- 読了時間: 2分
更新日:2024年8月27日
平成29年1月31日最高裁判決で、「節税目的の養子縁組であっても、直ちに無効とならない」とする判断が示されました。この判決を受けて、養子縁組が増加することが考えられますが、養子縁組を実行する前に、相続税法だけでなく、民法、戸籍法、国籍法等の取扱いについても知っておく必要がありますが、まずは税金面について整理したいと思います。
①基礎控除・生命保険金の非課税枠・退職金の非課税枠の増加
養子縁組により相続人が増えますと、基礎控除・生命保険金の非課税枠・退職金の非課税枠が、
それぞれ600万・500万・500万増加します。実子がいない場合には、最大2人まで相続人に含まれます。
②税率の低減
相続税の総額は、遺産総額を相続人の数で割った金額に、累進税率を適用して算定されます。つま
り同じ遺産総額であっても相続人の数が多いほど相続税総額は低減されます。
例) 夫の遺産2億4000万の場合の、相続人の数に応じた相続税総額の違い
A.相続人:妻のみの場合 2億4000万×45%-2700万 =8100万
B.相続人:妻+養子1人 (1億2000万(=2億4000万÷2人)×40%-1700万)×2人=6200万
C.相続人:妻+養子2人 ( 8000万(=2億4000万÷3人)×30%- 700万)×3人=5100万
③2割加算
養子は基本的には2割加算の対象ではありません。
ただし、孫養子(代襲相続人を除く)は対象となりますのでご留意下さい。
④相続時精算課税贈与
実子と同様に、精算課税贈与を受けることができます。
以上、養子縁組による相続税のメリットを見て参りましたが、「相続税の負担を不当に軽減させる結果となると認められる場合には、税務署長の認めるところにより、養子を相続人に算入しないで税額を計算することができる。」との相続税法63条の規定がありますので、文頭の判決を拡大解釈せずに、あくまで養子縁組を行う合理的理由と両者の同意が大前提として必要となります。
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